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■ミミメッセージ
引っ越そう!

 ある日、いつものように空を見ていて、ふっとそんな衝動に駆られました。
その素直な思いをすぐに行動に移したのは今年の夏のこと。空に近いところから、土に近い部屋に引っ越しました。
 以前の部屋は、東京ベイエリアにあったマンションの36階にありました。そこに住んでいたときは、仕事が終わると早く家に帰りたくてしかたありませんでした。とてもきれいな夕焼けが見られるからです。「東京の夕日がこんなにきれいなんて」と驚かされたほど、本当にきれいでした。しかし、都市開発が進み、窓からの風景は徐々に変わっていきました。大好きだった景色から、富士山と東京タワーが消えたことも、思えば、引っ越しを思い立った一つの要因だったかもしれません。
 新しいマンションは、荏原という下町情緒の残る街です。空から地面に近い部屋となって、私の生活も変わりました。
 たとえば、音。夏は「ミーン、ミンミン」と“そんなに私の名前を呼んでくれなくてもいいよ”とうるさく思うくらい、蝉の音が聞こえてきます。朝は「カーカー」と4時頃から泣き始めるカラスが私の目覚まし代わり。このカラスがまたたいへんで、追い払うために毎日、攻防を繰り広げています。
 土が近づいて、ベランダという楽しみも増えました。サザンカが咲き始め、ホースで水を上げることがいまや毎日の日課です。この水は、ときにカラス撃退の武器にもなります。1階にある大きな3本の桜の木はいま、見事に紅葉し、私のベランダに落ち葉となって運ばれてきます。その葉っぱを掃除することも、1日の大仕事です。そんなベランダで先日、きれいなグリーンの葉っぱを見つけました。なんだろうとよく見ると、なんとカマキリ! しかも、お腹をパンパンに膨らませたメスだったのです。とても感動し、その姿を写真に収めると、弱っているからだを木の中に置いてあげました。
 こんなふうに、地面に近づいたら、東京生活でこれまで体験したことがなかった出来事にたくさん出会っています。自然がより身近になり、私はいま、この新しい生活をとても楽しんでいます。
 来年、桜の花が咲く頃には友人を誘い、この部屋でぜひお花見をしたいなと思っています。その日がいまから楽しみです。

木原光知子

(このメツセージはミミ倶楽部12月)



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